心肺機能を高めるトレーニングとは?持久力アップの方法をわかりやすく解説
「すぐに息が上がる」「長く動き続けられる体力をつけたい」「スポーツの後半までバテにくくなりたい」と感じていませんか?
ランニング、サイクリング、球技など持久力が求められるスポーツでは、心肺機能を高めることがパフォーマンスを支える重要な要素になります。
ただし、毎回苦しいインターバルトレーニングを行えばよいわけではありません。
低〜中強度の有酸素運動を土台にしながら、体力に応じて高強度運動を組み合わせることが基本です。
この記事では、心肺機能とは何か、どのようなトレーニングが有効なのか、低酸素環境を活用する場合の考え方を研究文献をもとに解説します。
心肺機能とは?持久力を支える身体の仕組み

心肺機能とは、単に「肺が強い」という意味ではありません。
運動中に酸素を取り込み、心臓と血液によって全身へ運び、筋肉で利用する一連の能力を含みます。
そのため、持久力を高めるには心臓・血管・筋肉まで含めた身体全体へのトレーニングが必要です。
心肺機能は心臓・血液・筋肉が連携して働く能力
運動をすると筋肉は多くのエネルギーを必要とするため、呼吸によって取り込んだ酸素を血液で運ぶ必要があります。
心臓は心拍数や1回拍出量を増やして血液を送り、筋肉ではミトコンドリアなどを通じて酸素がエネルギー産生に利用されます。
その能力を評価する代表的な指標がVO2max(最大酸素摂取量)です。
BassettとHowleyのレビューでは、VO2maxは特に活動筋へ酸素を供給する心肺循環系の能力によって大きく左右されると説明されています。
つまり、心肺機能トレーニングとは「肺だけを鍛える」のではなく、酸素を取り込み、運び、利用する身体全体の能力へ刺激を加える運動と考えると分かりやすいでしょう(Bassett DR Jr, Howley ET, Medicine & Science in Sports & Exercise, 2000)。
心肺機能が高まると同じ運動を続けやすくなる
心肺機能が向上すると、これまで苦しかった運動強度でも余裕を感じられるようになる可能性があります。
ただし、スポーツの持久力はVO2maxだけで決まるわけではありません。
JoynerとCoyleのレビューでは、持久系パフォーマンスにはVO2maxに加えて、LT(乳酸性作業閾値)や運動効率も関係するとされています。
たとえば同じVO2maxを持つ2人でも、より少ないエネルギーで身体を動かせる人や、高い運動強度を長く維持できる人の方が競技では有利になる場合があります。
心肺機能は持久力の重要な土台ですが、一つの数値だけではなく実際の動きや疲労の感じ方も合わせて考えることが大切です(Joyner MJ, Coyle EF, The Journal of Physiology, 2008)。
心肺機能を高めるトレーニングはどう組み立てる?

心肺機能を高めるために、毎回限界まで追い込む必要はありません。
ウォーキングやジョギングなど継続しやすい有酸素運動を土台にし、運動経験や目的に応じて強度の高いトレーニングを組み合わせる方法があります。
まずは継続できる有酸素運動で土台をつくる
ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリングなどの有酸素運動は、心肺機能を高める基本的なトレーニングです。
ACSMでは、健康な成人の心肺体力を高めるために中強度または高強度の有酸素運動を定期的に行うことが推奨されています。
ただし、運動習慣がほとんどない人が最初から速いランニングを行う必要はありません。
まずは会話ができる程度のウォーキングや軽いジョギングから始め、運動時間や頻度を少しずつ増やしていきましょう。
心肺機能の向上で重要なのは、1回だけ激しく運動することではなく、自分の体力に合った負荷を継続することです(Garber CE et al., Medicine & Science in Sports & Exercise, 2011)。
慣れてきたらインターバルトレーニングも選択肢になる
ある程度運動に慣れている人は、高強度インターバルトレーニング(HIIT)を取り入れる方法もあります。
Wenらが53件のランダム化比較試験を解析したメタ分析では、HIITによってVO2max・VO2peakが改善し、特に2分以上の運動区間や15分以上の運動量を含むプログラムなどで比較的大きな改善が報告されました。
ただし、高強度運動は心肺や筋肉への負担も大きくなります。
持久力を高めたいからといって毎回追い込むのではなく、低〜中強度の運動と組み合わせ、疲労や運動経験に合わせて取り入れることが重要です(Wen D et al., Journal of Science and Medicine in Sport, 2019)。
低酸素環境での心肺機能トレーニングという選択肢

平地で高い速度を出して心肺へ負荷をかける方法とは別に、低酸素環境を利用する方法もあります。
低酸素環境では利用できる酸素が少ないため、通常酸素環境とは異なる生理的刺激を身体へ加えられることが特徴です。
低酸素下HIITでVO2max改善が大きかった研究もある
低酸素環境と心肺機能については、通常酸素環境でのトレーニングより大きな改善を報告した研究があります。
2022年に9研究・194人を解析したシステマティックレビュー・メタ分析では、低酸素環境で行うHIITは、通常酸素環境で同様のHIITを行った場合よりVO2maxの改善が大きかったことが報告されています(Westmacott A et al., 2022)。
一方、2026年に競技レベルの中長距離ランナーを対象としたRCTを統合したメタ分析では、VO2maxやタイムトライアルについて、通常酸素環境でのトレーニングを上回る明確な効果は確認されませんでした(Schwalm LC et al., 2026)。
このように研究によって結果には違いがありますが、低酸素環境でのトレーニングは、通常とは異なる酸素条件で心肺に刺激を加えられることが特徴です。
そのため、「通常酸素環境より必ず優れている」と考えるのではなく、持久力や心肺機能の向上を目指す人が、普段のトレーニングに異なる刺激を取り入れる方法の一つとして活用できます。
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平地で速いスピードを出して追い込む方法だけではなく、速度や傾斜などの負荷を調整しながら、普段とは異なる酸素条件で心肺へ刺激を加えられることが特徴です。
仕事や家庭の都合で長時間の練習時間を確保しにくい方が、限られた時間の中で心肺機能を意識した運動に取り組む環境として活用できます。
まとめ|心肺機能トレーニングは「継続+適切な刺激」が大切

心肺機能は、肺だけではなく、心臓が血液を送り出す能力、血液で酸素を運ぶ能力、筋肉が酸素を利用する能力などが組み合わさって成り立っています。
持久力を高めたい場合は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を継続しながら、現在の体力に応じて運動時間や強度を調整することが基本です。
運動に慣れてきた人はHIITなどの高強度運動も選択肢になりますが、毎回限界まで追い込む必要はありません。
低〜中強度の運動で土台をつくり、必要に応じて強い刺激を組み合わせることで、継続しやすいトレーニングにつながります。
また、低酸素環境でのトレーニングは、平地とは異なる酸素条件で心肺へ刺激を加える方法の一つです。
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