マラソンの心拍数目安|サブ4・サブ5を狙うランナーの考え方
サブ4・サブ5を目指して練習していると、「マラソンでは心拍数を何拍くらいに保てばいい?」「最大心拍数の何%なら最後まで持つ?」と気になる方も多いでしょう。
結論からいうと、サブ4・サブ5それぞれに全員共通の心拍数はありません。
大切なのは、自分の最大心拍数に対してどの程度の強度で走っているかを見ることです。
この記事では、マラソン中の心拍数に焦点を当て、研究データをもとにサブ4・サブ5を目指すランナーが心拍をどう考えればよいか解説します。
マラソンの心拍数は最大心拍数の何%が目安?

フルマラソンでは数時間にわたって運動を続けるため、短いレースのように最大心拍数付近を維持することはできません。
一方、楽なジョギングよりは高い強度が続きます。
研究では、市民ランナーが最大心拍数の80%台を中心にマラソンを走っている例が報告されています。
市民ランナーでは最大心拍数の約82〜87%という研究報告がある
Billatらが14名の中年男性市民ランナーを対象に実際のマラソン中の心拍反応を調べた研究では、平均完走時間は3時間30分±45分で、レース中の平均心拍数は最大心拍数の87.0±1.6%でした。
また、Utterらが98名のマラソンランナーを対象に行った研究では、レース中の心拍数はプラセボ群で最大心拍数の82.0%、炭水化物飲料群で84.2%でした。
研究対象や条件は異なりますが、これらの研究ではマラソン中に最大心拍数の80%台で走っていたことが確認されています。
ただし、この数値はサブ4・サブ5を達成するための基準ではなく、すべてのランナーに当てはまる目標心拍数でもありません。
実際の心拍反応には走力や体力、気象条件などによる個人差があるため、自分のトレーニング時の心拍データとあわせて考えることが大切です(Billat VL et al., 2012/Utter AC et al., 2002)。
「心拍数150」のような絶対値ではなく%最大心拍数で考える
マラソンの心拍数を比較するときは、「150bpmなら適切」といった絶対値だけで判断するのは適切ではありません。
最大心拍数が170bpmの人にとって150bpmは約88%ですが、最大心拍数190bpmなら約79%だからです。
また、Tanakaらの研究では最大心拍数には同年齢でも個人差があることが示されています。
そのため、サブ4・サブ5を目指す場合も「何拍で走るか」より、「自分の最大心拍数の何%で走っているか」を確認する方が運動強度を比較しやすくなります(Tanaka H et al., Journal of the American College of Cardiology, 2001)。
サブ4を狙うランナーの心拍数はどのくらい?

サブ4だから特定の心拍数で走れば達成できるわけではありません。
ただし、研究で報告されているマラソン中の心拍反応を参考にすると、自分が80%台の心拍数をどの程度安定して維持できるかは一つの確認材料になります。
サブ4では最大心拍数の80%台を一つの参考にする
サブ4を目指すランナーでは、最大心拍数の80%台前半〜後半を一つの参考範囲として心拍を確認すると分かりやすいでしょう。
ただし、これは「この範囲ならサブ4できる」という基準ではありません。
Billatらの研究対象者は平均完走時間が約3時間30分で、平均心拍数は最大心拍数の約87%でした。
この結果から、十分にトレーニングされた市民ランナーでは、比較的高い割合の心拍数を数時間維持できる場合があることが分かります。
一方、同じ87%でも負担の感じ方には個人差があるため、自分の練習時の心拍反応を基準に判断する必要があります(Billat VL et al., The Scientific World Journal, 2012)。
後半に同じ心拍でも走りが苦しくなる「デカップリング」に注意する
マラソンでは、同じような心拍数で走っていても後半になるほど速度を維持しにくくなることがあります。
Smythらが82,303人の市民ランナーを解析した研究では、心拍数で示される内部負荷と走速度で示される外部負荷の関係がレース途中から崩れる「デカップリング」が平均約25kmから確認されました。
さらに、この変化が小さく、発生が遅いランナーほどマラソン成績が良い傾向がありました。
サブ4を目指す場合も、一時的に高い心拍数を出せることより、高い心拍数に対して走力を長時間維持できるかを見ることが重要です(Smyth B et al., Sports Medicine, 2022)。
サブ5を狙うランナーは心拍数をどう考える?

サブ5では運動時間が4〜5時間近くなるため、「できるだけ高い心拍数を維持する」ことが目的ではありません。
長時間継続できる心拍強度を見つけ、後半まで身体への負担が急激に増えない範囲で管理することが重要です。
サブ5でも80%前後から80%台半ばが参考になるが固定しない
サブ5を狙う場合も、最大心拍数の80%前後〜80%台半ばは心拍を確認する際の一つの参考になります。
ただし、サブ5のランナーだけを対象に「○%が最適」と検証した研究は十分ではありません。
そのため、この範囲を必ず守る目標値として使うのではなく、自分が数時間継続できる強度かを判断するための目安と考えましょう。
特にマラソン経験が少ない方では、心拍数を高く保つことより、呼吸や脚の負担が大きくなりすぎないことを優先する方が現実的です。
サブ4とサブ5で心拍数が大きく違うとは限らない
走力が高い人ほど必ず高い最大心拍数で走るとは限りません。
短い距離の研究では、速いランナーと遅いランナーでレース中の最大心拍数に大きな差がなかったという報告もあります。
つまり、同じ85%最大心拍数でも、サブ4ランナーとサブ5ランナーでは実際に出せる走速度が異なります。
心拍数は「速さ」を直接示す数字ではなく、その人にとってどの程度身体へ負荷がかかっているかを見る指標です。
そのため、目標タイム別に心拍数を比較する際も、他人のbpmより自分の過去のデータを基準にすることが重要です(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8558627/)。
心拍数を使ってサブ4・サブ5向けの練習を管理するポイント

マラソン練習で心拍数を活用する目的は、毎回高い数値を出すことではありません。
同じ運動条件で心拍数がどう変化するかを確認すると、心肺への負荷や持久力の変化を把握しやすくなります。
一定の心拍数を維持する練習で身体の反応を確認する
心拍トレーニングでは、一定の運動強度を設定し、その心拍数をどの程度安定して維持できるか確認する方法があります。
心拍数は速度だけでなく、気温、疲労、脱水などによっても変化するため、毎回同じ数値になるとは限りません。
それでも同じ環境や負荷で記録を続ければ、「以前より同じ運動を低い心拍で行える」「同じ心拍でも長く運動できる」といった変化を把握できます。
レース本番の数字を予想するだけでなく、普段のトレーニングで心拍反応を確認しておくことが、サブ4・サブ5に向けた強度管理につながります。
短時間でも心肺に負荷をかけ、心拍の反応を確認する
フルマラソンのために毎回長時間走る必要はなく、短時間で心肺に負荷をかけるトレーニングを組み合わせる方法もあります。
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屋外では信号、坂道、気象条件などによって強度が変わりやすい一方、室内では速度や傾斜などの条件をそろえやすいため、自分の心拍反応を確認しながらトレーニングしやすい点が特徴です。
ただし、低酸素環境で行えば必ずマラソン記録が向上するという意味ではなく、目的に応じたトレーニング手段の一つとして活用することが大切です。
まとめ|サブ4・サブ5の心拍数は「何拍」より自分の最大心拍数に対する割合を見る

マラソン中の心拍数には大きな個人差があるため、サブ4なら○bpm、サブ5なら○bpmと一律に決めることはできません。
市民ランナーを対象とした研究では、マラソン中の平均心拍数として最大心拍数の80%台が報告されています。
Billatらの研究では平均87.0%HRmax、Utterらの研究では条件によって82.0〜84.2%HRmaxでした。
ただし、これらはサブ4・サブ5それぞれの適正心拍数を示した研究ではありません。
そのため、「サブ4なら○%、サブ5なら○%」と一律に設定するのではなく、最大心拍数に対する割合を参考にしながら、普段の練習で自分が長時間維持できる心拍強度を把握しておくことが大切です(Billat VL et al., 2012/Utter AC et al., 2002)。
また、心拍数は高ければ高いほど走力が高いわけではありません。
マラソンでは、同じ心拍強度でも走力を後半まで維持できる「持久性」が重要です。
日頃から同じ条件で心拍数を記録し、自分の身体がどのように反応するかを把握しておきましょう。
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