9月のマラソン練習メニュー|秋・冬大会に向けて何をする?
秋・冬のフルマラソンが近づく9月は、「もっと走り込まないと間に合わない」と焦りやすい時期です。
しかし、10月の大会と12月の大会では、9月に行うべき練習は同じではありません。
10月に本番を控えるランナーは仕上げからテーパリングへ移る時期、11〜12月が本番なら持久力を高めながら実戦的な練習を増やす時期になります。
大切なのは、短期間で急激に走行距離を増やすことではなく、現在の練習量と大会までの残り期間から必要な負荷を判断することです。
この記事では、市民ランナー向けに9月のマラソン練習メニューを具体的に解説します。
9月のマラソン練習は大会までの期間で変える

9月はすべてのランナーにとって「追い込み月間」ではありません。
本番まで何週間残っているかによって、走行距離を増やす段階なのか、レースに向けて疲労を抜き始める段階なのかを分けて考えることが重要です。
10月大会なら新しい負荷を増やすより仕上げを優先する
10月にフルマラソンを控えている場合、9月はこれまで積み上げてきた練習を本番につなげていく時期です。
Dohertyらが85研究・137コホートを解析したメタ分析では、週間走行距離や最長走距離、練習頻度など、複数のトレーニング要素がマラソン記録と関連していることが報告されています(Doherty C et al., Journal of Science and Medicine in Sport, 2020)。
一方、大会が近づいてから練習量を増やし続けるのではなく、本番前には疲労を抜く「テーパリング」も重要です。
Wangらのメタ分析では、21日以内のテーパリングで練習量を減らしながら強度や頻度を維持する方法が、持久系パフォーマンスの改善に有効であることが示されています。
そのため、10月大会を予定しているランナーは、本番日から逆算して長めの練習を終え、その後は徐々に練習量を減らしてコンディションを整えていきましょう(Wang Z et al., PLOS ONE, 2023)。
11〜12月大会なら持久力づくりを進める時期
11〜12月に本番がある場合は、9月にもまだ持久力を高める時間があります。
2025年に119,452人・151,813件のマラソン前16週間の練習データを解析した研究では、市民ランナーを含む幅広い走力層で、練習時間の多くが低強度域に配分されていました。
速い練習ばかりを行うのではなく、余裕のあるランニングで走行時間を確保しながら、週の一部に目標マラソンペース付近の運動を組み合わせる考え方が実践的です。
9月は毎回追い込む月ではなく、長時間動き続けられる土台をつくる時期として活用しましょう(Muniz-Pumares D et al., Sports Medicine, 2025)。
9月に取り入れたいマラソン練習メニュー

市民ランナーの9月メニューは、長めのランニング、余裕のあるジョギング、マラソンを意識した一定強度の練習を組み合わせると整理しやすくなります。
すべてを高強度にする必要はありません。
週1回は長めに動き、フルマラソンに必要な持久力をつくる
フルマラソンでは42.195kmを動き続ける必要があるため、9月は週1回程度、普段より長く動く日を設ける方法があります。
ただし、「必ず30km走らなければならない」といった一律の基準はありません。
Dohertyらのメタ分析では、最長走距離や週間走行距離が長いことは速いマラソン記録と関連していましたが、これは観察研究を含む結果であり、距離を増やせば必ず速くなるという意味ではありません。
普段15km程度しか走っていない人が突然30kmへ伸ばすのではなく、現在の走行距離を基準に無理のない範囲で長時間の運動へ身体を慣らしていきましょう(Doherty C et al., Journal of Science and Medicine in Sport, 2020)。
平日は疲労を残さないメニューを中心にする
| 曜日例 | 練習内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 月 | 休養または軽いウォーキング | 回復 |
| 火 | 30〜60分のイージーラン | 有酸素能力の維持 |
| 水 | 休養または補強運動 | 疲労管理 |
| 木 | マラソンを意識した一定強度のラン | レース強度への慣れ |
| 金 | 休養 | 回復 |
| 土 | 軽いジョギング | コンディション調整 |
| 日 | ロングラン | 持久力づくり |
上記は一例であり、全員に同じメニューが適しているわけではありません。
ランニング関連障害と週間距離・頻度・強度の関係を検討したシステマティックレビューでは、特定の走行距離や増加率と障害発生との関連について結果は一貫していません。
そのため「毎週必ず○%増やす」と機械的に決めるより、脚の痛み、疲労、睡眠状態などを確認しながら調整することが重要です(Fredette A et al., 2022)。
大会が近づいたら「追い込む」より疲労を抜く

秋大会が迫ってくると不安から練習量を増やしたくなりますが、レース直前まで走り込むことが必ずしも好結果につながるわけではありません。
最後の1〜3週間は、それまでの練習成果を発揮できる状態へ整えることが重要です。
テーパリングでは練習量を減らしながら強度を残す
Wangらが14研究を解析した2023年のシステマティックレビュー・メタ分析では、持久系競技のテーパリングによってタイムトライアルや疲労困憊までの時間が改善しました。
特に、21日以内の期間で練習量を41〜60%程度減らしながら、運動強度や頻度を大きく変えない方法がパフォーマンス改善と関連していました。
これは「大会前は完全に休む」という意味ではなく、これまでの運動刺激をある程度残しながら疲労を減らす考え方です。
10月大会のランナーは9月後半から、レース日程に合わせて徐々に練習量を減らすことも検討しましょう(Wang Z et al., PLOS ONE, 2023)。
30分で完結する低酸素トレーニングも選択肢の一つ
仕事や家庭で長時間の練習時間を確保しにくい場合は、短時間で取り組めるトレーニング環境を活用する方法もあります。
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2026年に競技ランナーを対象としたRCTを統合したメタ分析では、低酸素トレーニングによるVO2maxやタイムトライアルについて、通常酸素環境でのトレーニングを上回る明確な効果は確認されませんでした。
そのため、低酸素環境を「短時間で長時間のランニングと同じ効果が得られる近道」と考えるのではなく、限られた時間の中で普段とは異なる酸素条件で心肺に刺激を加えるトレーニングの選択肢として活用するのが適切です(Schwalm LC et al., Journal of Strength and Conditioning Research, 2026)。
まとめ|9月のマラソン練習は「大会まで何週間あるか」で決めよう

9月のマラソン練習で重要なのは、「秋だから追い込む」と一律に考えないことです。
10月大会なら9月は仕上げからテーパリングへ移る時期、11〜12月大会なら低強度のランニングやロングランを中心に持久力を積み上げる時期になります。
本番直前まで走行距離を増やし続ける必要はありません。
テーパリングのメタ分析では、レース前に練習量を減らしながら強度を維持する方法が持久系パフォーマンス改善と関連しています。
今まで積み重ねた練習を本番で発揮するためにも、「どれだけ追い込んだか」ではなく「疲労を残さず必要な刺激を入れられたか」という視点で9月のメニューを組み立てましょう。
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